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no5
年老いたアリが庭先で壊れた巣を直しながら、茫然と立ちすくんでいるガランスに言いました。
「おまえがミルキーストーンをこの家に投げたんだな。」
ガランスは小さくうなづきました。アリが続けて言います。
「おまえは妖精でもないのにミルキーストーンを、この家に
投げ込んだんだな!」小さなアリでも怒りのこもった言葉に圧倒
され、ガランスは思わず後ずさりしながら、もう一度小さくうなずきました。
そお言うと、その年老いたアリは周りを直しながら巣の中に入って行ってしまいました。
ガランスは自分のした事が原因で何かが起きていると、始めて察しました。
そこに魔王の宮殿の大宴会で知り合った魔族のポスがやって来ました。
ガランスはポスが、にがてです。なぜならポスは必要以上に顔を近づけて話しかけてくるからです。顔は近いのに声は大きいのです。悪いやつじゃないかもしれないけど、あまり会いたいとは、思いませんでした。
ポスが近くに来て言いました。「ガランスー、昨日の宴会はすごかったなー。」
ウッ やっぱり近い ・ ・ ・。
それに ・ ・ ・ 酒くさーーーい。
ガランスの気持ちも知らずにポスは、つぶれた家を見ながら
「ここかー、おまえがワナをしかけた家はー。」
と、言いながら荒れた庭先をしげしげと見渡していました。